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【抗議文】「広瀬めぐみ議員の『幽霊公設秘書疑惑』と題する記事に関して」

株式会社新潮社
「週刊新潮」編集部 御中

令和6年3月21日

〒160-0004
東京都新宿区四谷3-1-5
ロリエ四谷ビル4階
秋山・朝倉法律事務所
電話 03-6384-2377
FAX 03-6384-2378
参議院議員広瀬めぐみ氏代理人
弁護士 秋 山 亘

厳重抗議書

冠略 当方は、参議院議員広瀬めぐみ氏(以下、「通知人」といいます)の代理人として、株式会社新潮社(以下、「被通知人」といいます)が令和6年3月21日に発売した「週刊新潮」2024年3月28号28頁及び29頁における「広瀬めぐみ議員の『幽霊公設秘書」疑惑』と題する記事(以下、「本件記事」といいます)は、以下の理由により、真実に反する報道によって通知人の名誉を著しく毀損する報道であり、さらに、そもそも、疑惑として報じるに値せず、また、疑惑と報じることができる合理的根拠に欠けるもので、真実に反する疑惑報道として、名誉毀損の不法行為にあたりますので、被通知人に対し、本件記事について本書をもって厳重なる抗議を申し入れます。

1 第一に、本件記事の28頁本文2段~3段目における「秘書としての勤務実態がない゙幽霊秘書゙だと言われている」に関しては、そもそも当該発言をした人物の「主語」に欠ける記述である上、その人物が「幽霊秘書」という言葉を用いたのかも明確ではなく、誰のどのような発言を根拠にして、本件記事における主題の骨子である「幽霊秘書」と言われているとの事実を摘示したのかも不明です。幽霊秘書疑惑と報じる以上は、少なくとも、①通知人の公設第二秘書が勤務実態のない幽霊秘書であると言っていた人物が誰であるか、あるいはどのような立場の者であるか、また、②当該人物は、通知人の公設第二秘書の勤務場所、勤務状況に照らして、公設第二秘書としての勤務状況を直接見聞きして当然に把握しているべき立場の人物であることを示す必要があるところ、本件記事では、上記のとおり、当該発言をした人物の「主語」に欠ける記事である上、疑惑として報じたとしても、その合理的根拠が全く示されていない記事と言わざるを得ないものです。

2 第二に、本件記事28頁本文3段目における「広瀬氏の地元事務所の関係者に聞いたところ、『彼女も秘書になっていたんですか。それは私、初めて聞きましたね。あんまりお見かけしたことはないんです。・・略』」の下りに関しても、そもそも、この記事で引用されている「地元事務所の関係者」という記述が曖昧な取材源の表現であることから、どのような関係にある者に対する取材か(地元事務所と何らかの関係性を有するに過ぎない外部の関係者に過ぎないのか、地元事務所の内部で勤務する者であるのか)が不明である上、上記記事における発言の引用部分は、単に当該人物わずか一人が「公設第二秘書であることを知らなかった」、「あまり見かけたことがない」と述べただけの話です。そもそも、国会議員の秘書業務は、その性質上、単に事務所と何らかの関係性を有するに過ぎない外部の人間がその業務の活動状況を見ていない(すなわち、業務の活動状況が分からない、知らない)としても何ら不思議なことではなく、当該人物一人の認識をもって勤務実態のない「幽霊秘書」などといえるはずのないことは明らかです。さらにいえば、当該人物は、当該公設第二秘書と面識があることを前提に発言していること、見かけたことがあること、有権者回りなどで運転手をしていたことを認識していることが明らかで、まとめ方によっては、「公設第二秘書になっていたかどうかまでは知る立場にないので知らなかった。そう多くはないが見かけたことも何度かはある。平日事務所で見かけたという記憶はないが、有権者回りなどの運転手として業務にあたっていた事実は知っているので、勤務実態が全くないなどということはない」と言うこともできる内容であります。このような「勤務実態のない『幽霊秘書』」などという疑惑を否定する内容が本件記事自体に含まれていることが明らかですから、本件記事が示す疑惑には合理的根拠がないことを自ら認めているものと評価されます。したがって、上記人物の発言の引用部分に関しても、本件記事が報じるような疑惑を裏付ける根拠とはほど遠い事情であり、当該疑惑を報じるに値する合理的根拠とは到底いえません。

3 第三に、本件記事29頁本文2段目~3段目では、「別の地元事務所関係者」の話として、「彼女が秘書をやっていたことは全く知らない」ということ及び「彼女の実家の近隣住民」の話として、「政治家の秘書をやっていたなんて初めて聞いた」ということを示しています。しかし、前者の「地元事務所関係者」に関しては、前記2で述べたことと同様、事務所とどのような関係にあったのか明らかではない人物から、単に「秘書をやっていたことを知らなかった」という当該人物一人の認識をもって通知人の公設第二秘書が勤務実態のない幽霊秘書であったとする根拠にはなりません。また、後者の「実家」の「近隣住民」の「知らない」ということを記事にした点についても、そもそも、実家の近隣の住民が、当該秘書の実家とどの程度の関係性を持つかも不明である上、他人の家族の娘の職業を知らないということは、何ら特別なことではなく、上記人物一人の当該認識をもって、通知人の公設第二秘書が勤務実態のない「幽霊秘書」などといえるはずもありません。

4 第四に、通知人は、本件記事に関する被通知人から取材の申し入れに対して、令和6年3月18日付「ご回答」と題する書面(全8頁、約5000字)をもって、通知人の公設第二秘書の勤務状況について、公設第二秘書となった経緯や具体的な秘書としての活動内容、当該秘書が活動している場面を実際に見ている複数の岩手県議会議員やその関係者らが存在する具体例をあげるなどまでして、詳細に回答しております。それにも関わらず、本件記事29頁本文末尾では、通知人の上記回答のうちごく一部(48文字、当該回答書の僅か1行半相当)を引用し、あたかも、勤務実態がないとする本件記事の報道事実を通知人が単に否定しているだけの印象を与える記事としており、この点に鑑みても、被通知人による本件記事は、極めて不十分な取材に基づき、疑惑報道を報じる前提ありきで報道したものと言わざるを得ません。

5 以上を要するに、本件記事の主題として報じられている「通知人の公設第二秘書は、秘書としての勤務実態の゙幽霊秘書゙の疑惑が囁かれている」旨の本件記事は、

1 そもそも、「幽霊秘書」と言っている人物、あるいは、「幽霊秘書疑惑」を囁いている人物の記載がなく、当該疑惑を裏付ける合理的根拠が全く示されていない記事であること、

2 通知人の公設第二秘書の勤務状況を当然かつ正確に知り得る立場の者からの裏付け取材は全く行われておらず、通知人の公設第二秘書の勤務状況、名前を知らないことも、普通にあり得る、たった3名の「関係者」なる人物の認識に関する取材だけをもとに(さらには勤務実態があったことを内容とする認識も含まれているにもかかわらず)、通知人の公設第二秘書が勤務実態のない「幽霊秘書」である疑惑があると報じていること、

からして、本件記事は、真実に反する報道であるだけでなく、疑惑として報じるに値しない事情(すなわち、疑惑と報じることができる合理的根拠を欠く、これとはほど遠い事情)から事実に反する疑惑報道を報じたものであり、名誉毀損の不法行為にあたる報道でありますので、本件記事に対し厳重に抗議すると同時に、名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟の提起も辞さない考えである旨、あわせて申し添えます。

草々